時は九月十七日。まだまだ残暑が続く三連休の中日。
俺は――キリトだった。
事前準備は出来ていたのに
財布の中に眠るのは10諭吉。何度も繰り返した通り、これがデスゲームにおける俺の体力である。数字に換算すれば10万ライフポイントだ。いわば生存権利と同様。無くなってしまえば死あるのみ。
5万発出した日と同じルーティーン。僅かに香るのはDiorのSAUVAGE。ぴかぴかの白シャツが眩しいぜ。マスクも着けたしライフポイントも準備した。
――ready, perfectly. 準備は整った。
今は戦わなくちゃいけないんだな……
俺はキリトだ。だがしかし倒せないものもあれば心が折れるものもある。今日は赤バレPフラというカスタムだったのが、この赤バレが重い事この上ない。2連という小さな小さな当たりの後に待ち構えていたのは1200ハマりというアンダーワールドのアドミニさんもびっくりの大きな溝であった。
赤バレとは保留の入賞時にキュオーーンとフラッシュするギミックである。期待度はざっくり40%。319という確率に照らし合わせると、127.6回に1度は訪れるハズのものだ。
それが800回転もこない。キリトを通り越して菩薩である。
令和のブッダとは私の事だ。そう、ブッダも言っている。
「1000の戦いに勝つよりも自分に打ち勝つ方が良いのです」
隣のおじが当たった
音量9でプレイしている隣のおじが辺りを引いた。繰り返し言うが音量9である。バカデカPフラ確定音が好きな俺でも音量9はない。せいぜい7-8がいいところだ。音量9はさながらクラブである。俺はおじにヴォーパルストライクを決めたい苛立ちをハンドルにぶつけるしかなかった。
このおじの確変がまた腹立つ展開で何をしても当たりに刺さる。おじだけ総30回転で5回に1回当たるスペックのSTをやっているんじゃないかと思った。誇張抜きで91層フロアボスから10層フロアボス撃破まで30回転以内に当てて2万発出していた。マジで許さん。
だけどもブッダはいった。自分に打ち勝てと。隣のおじより俺は若い。性格もいい。顔もいい。なんなら香りもいいし瞳の輝きが違う。――パチンコホールに来ている時点で同レベルなのだが。
唯一の救いは新規演出を見れたこと
この数日間で見れなかった、崩壊のアインクラッド(全回転)や、黒と白の剣舞を見れたことは良かった。他、次回予告からの赤花のトナカイ(全回転)も見れた。全回転引いた時ってPフラならないんだね。初めて知ったよ。
デスゲームでの敗北
俺に残ったものは出玉が少々。そして財布に香る諭吉の残滓。
愚かだった。ここ最近で三連勝無敗の伝説を築いていたからといって、無理無茶無謀をし過ぎた。いつかは負けるゲームだ。こういう惨敗(諭吉6スイッチ)の日が来ると思っていた。キリトのように電子の法則を超越する力など持っていなかったのだ。
ラーメンを食べて帰ろう。一杯6万円のラーメンだ。
そんな俺の煤けた背中。そこに不意に呼びかける声があった。
あきらめるのは簡単です
デスゲームに敗れた俺にそう語り掛けるのはレムだった。
――でも、スバルくんには似合いません
レムはそれでも立てというのだ。あらゆる賭けに負け続け、諭吉を投げうった勝負に大敗した自分のことを英雄と称え、動く両脚があるのであれば這って進めと、そう語り掛けるのだ。
俺の名前はナツキ・スバル! 天下不滅の無一文!
キリトなんて引退だ、ここから先は鬼がかり勝負一択!
――待っていろよ、俺が取り零した福沢諭吉。
俺が必ずお前を救ってみせる!
今日の俺は、鬼より鬼がかってるぜぇ!!
諭吉と6スイッチをした俺に後は無い。死に戻るも何もないのである。先バレ>プレ一択。全ての勝負を一回の先バレに託すことを決めた。SAOみたいななんちゃって先バレではない。これこそが真の先バレ一本勝負なのだ。
ボギューン!!!(12回転目)
何も言う事は無い。鬼より鬼がかっている俺はナツキ・スバル。白鯨討伐戦から鉄の牙>ヴィルヘルム>俺。現れたるは大判ボタン。ものの見事に3000をかっさらった。
その後は3000、3000、3000、1500、3000…… わずか30分足らずで15000発+αを埋めた俺は、自分を奮い立たせてくれて、3000の確率を覆してくれたレムにありがとうと言って、ラーメンを食べに行った。30分前後で五万出るのバグでしょ。
まとめ
- 勝ちたいならエヴァでいい(2回目)
想像以上に確変50%は分が悪いです。 - 先バレを楽しみたいならリゼロでいい。
媚びを売るならアスナよりレムです。3000くれるし。
今度こそ当分パチンコはいいです。次はリゼロ新台が出たらですね。アインクラッド攻略は諦めました。
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