きりろぐ

ゲーム、ガジェット、映画。QOLをあげたい人の日記帳。


後編:スマパチSAOに勝つためのたった一つの冴えたやり方はアスナに媚びることである。

前編はこちら:(スマパチSAOに勝つためのたった一つの冴えたやり方はキリトになることである。)

 今週の金曜日、ついおとといの事だ。俺はキリトだった。会社を休み朝一からパチ屋に並び、SAOの世界にリンクスタートしていた。自らのライフポイントは財布に忍ばせた諭吉5枚(+ATMで購入した回復結晶5枚)。デスゲームに挑む準備は完璧であった。

 諭吉とスイッチを繰り返し、立ち塞がるフロアボスをなぎ倒し、1000回転ハメようとも気合のPフラというラストアタックボーナスを手に入れ、勝利を手に入れてきた。
 十二時間もアインクラッドを彷徨い、91層ボスフロアで過酷なる戦闘を繰り広げ、100層の紅玉宮で仲間たちと共にAn Incarnate of the Radiusにソードスキルを安堵も繰り返し放ったのだ。

 ――が限界だ。
 もう二度とあの世界で戦うことはないだろう。
 少なくとも当日夜、布団に入った時はそう思っていた。

前日の夜

「俺はサトウカズマじゃない――キリトになりたいんだ」

 積んでいたこの素晴らしき世界に祝福を!17巻を読み終えた私は強くそう感じた。引きこもりクソニートや駄女神、爆裂紅魔族にドMクルセイダーの絡みは面白かったが、先日打ったばかりのSAOが後ろ髪を引いていたのである。

 幸いにも先日は勝てた。まだまだ俺のライフポイントには余裕がある。せっかくの日曜日ということで、夜の十時ころ、俺はもう一度あのデスゲームへ挑戦することを決意した。

 そして朝の七時まで夜更かしをした結果、アスナ(奥さん)に九時に起こしてと緊急クエストを投げて布団を被った。無論、ぱちんこを打つためにそんなことを言われたアスナ(奥さん)が不満そうな顔をしていたが知る由ではない。

当日の朝

「行ってくるよアスナ

 今日こそはアインクラッドを制覇する。二時間睡眠の後に起きた俺はキリトだった。寝ぼけ眼を擦りながら着替え、家を出る時にそう言ってみた。以外にもいいノリで返事は帰ってきた。

「行ってらっしゃいキリト

「くんを付けろよ偽物が!」

 最後の文句に返事は無かった。どうやらFF14にログインしたようである。俺には俺の戦場が、アスナ(奥さん)にはアスナ(奥さん)の戦場があるらしい。

並ぶログイン待ちの人々

 店の前についてみれば都合30~40人ほどの人だかりが出きていた。抽選をしていない後入場のパチンカスの列だ。日曜日の朝からこんな並んでいるという事実に頭が痛んだが、俺はキリトである。今日こそ100層ボスフロアを制覇して、ナーヴギアのメモリを搔き集め、トゥルーエンドに辿り着かなくてはいけない。

 この店にはわずか六台しかナーヴギアの在庫は無いのだ。アインクラッドにログインできなかった場合、大人しく帰ろう。何がキリトだバカ、そう愚痴を零して酒を飲んで寝るのだ。

 途中、ベータテスター(抽選組)がゴキブリのようにぞろぞろと駐車場から出てきた時は終わったと思ったが、どうにか一台だけ空いていた席に座ることが出来た。ログイン戦争に勝利した瞬間だった。

SAO開幕(二日目)

 アインクラッドに挑むは六人のキリトたち。黒の剣士として、最速の反応速度を持つ二刀流のユニークスキル保有者として、銀色の玉をドロップさせんと台に立ち向かう。

 キリト六武衆の中でもあいつこそは最弱――そんなことを言われないよう、俺は気合を込めてハンドルを握る。カスタムはもちろん、先バレ白(Pフラ)だ。

「いくぞ諭吉、スイッチ!!」

 先日同様、軽い当たりだ――白フラ開始>黒の衝撃>SBS(スターバーストストリーム)からの1スイッチ(単位は無論1諭吉である)でラッシュを勝ちとる事が出来た。

 だけども長くは続かなかった。数回の当たりの後でラッシュは転落した。リスペットが「お願い……キリトがこの世界を終わらせて……」と言っていたが、終わらせたのはお前だ。赤色を外した罪は重いぞリズペット。ドラゴンのンコに突っ込ませてやろうか。

 台から戻ってきた諭吉くんとスイッチ、財布から出てきた諭吉くんとスイッチそんなことを繰り返している俺の目の前はどんよりとした曇り空が広がっていた。

立ち込める曇天

 丁度ツイッターで自らのHNの経緯を推察されている頃。
 俺は400回転も先バレ無しにハマっていた頃。

 1100回転ハメこんでいた隣のキリトに異変が起きた。覚醒したのだ。俺はこんなもんんじゃない――二台並んで1000回転ハメていた、二人のキリトが一つになったかのようなラッシュが始まった。

 何か演出がくれば当たる。青色は赤色になり金色になる。保留が変化すれば金色になる。もうやりたい放題だ。向かうところ敵はなし。ちょっと落ちそうになれば整合騎士であるアリスが助けてくれるし、爆速で辺りを伸ばし――あっという間にナーヴギアのメモリを集めきってしまったのである。

 1100回転ハメるキリトより俺の台の整合を取ってくれアリス。お前の金木犀の剣は強者のためにあったのか?。何がエンハンスアーマメントだ。しばくぞ。

 「あんまり強く出し過ぎると、俺のHPがなくなるぞ」

 底辺キリトから最上級イキリトに生まれ変わった隣のキリト。俺は許せなかった。Pフラが鳴るたびにHPは削られたし、俺が一度も入れたことのない閃光チャンスも成功させていた。

 なによりも許せないのは当たってバーストラッシュに入った瞬間に音量を二つも上げられたことだった。隣の芝生は青く見ると言うが、青を通り越して憎しみの赤色に見えていた。今の俺はキリトではなくPoHだった。オレンジギルド・ラフィンコフィンの幹部にでもなれる気がする。

 隣の席の確定音にトゥルーエンド、積み重なった三万発という数字。全てが朝一そこに座っていれば――そんな幻想を抱く中でも俺のHPはごりごりと削れていき、危険域(帰宅寸前)に追い詰められていく。

 そんな限界ぎりぎりの戦いの中。
 俺の中のキリトが叫んだのだ――キュインと。

「隣の出玉なんてただの数字だよ」

 転移結晶が確定音と共に送った先はFRONTLINE ZONE。いわば攻略組が集まるSAOの最前線激熱な場所だ。無論、Pフラもなっているので確確である。

 隣の出玉がなんだ、そんなものはただの数字なんだ。トゥルーエンドがなんだ! 俺はキリトだ! 俺がこのデスゲームを終わらせてやる。見てろよ、大〇技研の茅場晶彦。今日こそ俺が最後まで駆け抜けてやる!

「俺の確変はアインクラッド流だ」

 そこから先の快進撃は止まらない。先日のベータテストで味わった5当たりの壁なんて存在しなかったのだ。次々リズムを刻むように鳴り響くPフラ、ホールを沸かす確定音。左隣が当たって音をデカくしたので、俺も負けじと二つ上げてやった。

 ――言っておくが俺はソロだ。
 バカデカ音量プレイヤーに一日二日なることくらい問題ないぞ。

 隣が当たろうとも残りST10回転まで追い込まれようとも、俺のアインクラッドではPフラが鳴り響く。そうだ、俺の確変はアインクラッド流なのだ。

 バカデカ確定音止まない確変に気が立ち始めたのだろう。両隣がボタンを叩く音が次第に力み始めた。ッパン!! 俗にいう台パンである。闇に落ちた両隣のキリトをせせら笑い、俺は右打ちを続けた――。

スマパチSAOで勝つ方法

 残り2ゲージを残して俺は100層フロアボスに敗北した。後少しだったんだ。本当にあと少し――あの時助けてくれたアリスはもうこない。オーシャンタートルの中、フラクトライトの中。

 またボスを倒せなかった。
 こんな俺を大〇技研の茅場晶彦、あんたは笑うのか?

 すっかり意気消沈した俺の元に駆け付けたのは――アスナだ。今までカスらず入らずの時短。そこにアスナは叩き込んでくれた挙句、たったの十回転でスイッチを成功させ俺は確変という世界へ引き戻してくれた。

 そこで俺は理解した。本当にこのアインクラッドで勝つことに必要なのはアスナに媚びを売る事であると。確変を抜ける度にアスナに媚びを売り、時短を手に入れ、そこでもう一度319を引き当てて――1500発を取り戻す。

「ああ……立つよ。お前のためなら、何度だって!」

 その後は言うまでもないだろう。俺はバカデカ確定音を何度も何度も響き渡らせ、このゲームを終わらせてやるといいつつも何度も駆け抜け、その度にアスナとスイッチしたり絶剣エピソードで確変に舞い戻り、40ものラウンドを得ることが出来たのだ。

 都度都度落ちるせいで紅玉宮フロアボス撃破まで至ってはいないが、もう十分だろう。最後の最後、時短を駆け抜けていったアスナに感謝しつつ、俺は席を立った――。

 都合確変から落ちる事4回。その全てでアスナは時短に再突入させてくれたし、その4回とも確変に復帰させてくれた。とんでもない女だった。

SAO閉幕

 ラーメンを食べて家に帰った。朝から打ってた分、ラーメンも、一緒に飲んだビールも身に染みた。五臓六腑に染みわたるってやつだ。高揚感のままに家に帰った俺は――風呂に入ってから煙草を買い忘れていたことに気付く。

「なぁ……お小遣いあげるから、コンビニいかない?」

「いや、流石にそれ駄目じゃない? 物で釣ってコンビニに煙草を買いに行かせるってツイッターに呟いていいならいいよ」

「流石にそれはダメ。風評被害も甚だしい」

 あまりにも外に出たくないので、アスナ(奥さん)に媚びてみたがダメだった。だが俺はまだキリトだ。今日五万発出した黒の剣士である。今の俺には向かうところ敵なしなのだ。

 なんとも鮮やかな交渉スキル最速の反応速度でウーバーイーツを奢るという条件を成立させ、煙草を買ってきてもらった。正直なところクソ剣士だしゴミカスだと思うが、お互い納得したうえで買ってきてもらったので良しとしよう。

まとめ

  • こんな怪文章は二度と書かない
  • 家庭がある方は家庭を大事にしよう
  • 買い物を忘れないようにしよう
  • 通常:白フラPフラ / 確変:Pフラ 。正直コレ一択。
  • やっぱ黒の衝撃の占有率が高すぎる。なかったらハズレ

もうSAOでこんな勝てる日は来ないと思うので卒業したい。だけどトゥルーエンドを実質見れているわけではないので、二日三日も立てばまた俺はキリトだと言っている気がする。言っていたら笑ってください。

→続編はこちら


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